たったひとりの王子様 [完]


女の子の由宇くんコール。


はっきり言って、ちょっと。


「…うるさいなぁ」


「何?」


あたしの呟きに、笑顔をまきながら返事をする由宇。


会話はすごく久しぶり。


「…別に、由宇のことじゃないよ」


「なんだよ。はっきり言え」


あたしが黙ってると、昔の口調になる由宇。


この話し方も、すごく久しぶりな気がした。


いつもの着ぐるみが抜けたような。



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