たったひとりの王子様 [完]


女の子たちがうるさい、なんて言えるはずもなく。


ただ黙った。


そんなあたしに、いきなり美形な顔が近づいてくる。


「…今日、夕飯よろしく」


「え」


耳元で囁かれた言葉。


ご飯?


由宇の家は、両親が大きな会社で働いてて、昔から一緒にご飯を食べてきた。


でも、今日はうちにもお母さん達がいない。


ムリだよ、って言ったら、いつもの笑顔で。


「作ればいいだろ?」



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