たったひとりの王子様 [完]



ちょっと前にもかいだ、匂い。


由宇の、優しい匂い。


あたしは今、由宇に

抱きしめられている―。



「…っ!?」



びっくりしたけれど、イヤじゃない。


それは…由宇、だから。



「…よかった、明美。お前が誰かのモノにならなくて…」


「え…?」



あたしが、誰かのモノになる。


あたしが、誰かと付き合う…ってこと?


そうじゃなくてよかった、って…。




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