たったひとりの王子様 [完]
香水のかおり
いつわりと真実のキス
あたしは、次の日、学校で返事をした。
金井くんに告白された、体育館ウラに、由宇を呼び出して。
ごめんなさい。
それだけを伝えた。
「…金井は、俺が明美を好きなこと…ずっと知ってたんだ。金井には…このこと、言ってもいいか?」
悲しいはずなのに、そんな顔はしない。
泣いても…いいのに。
あたしは、泣きそうなのに。
由宇は、どうしてそんなに強いの?
「…うん」
小さく言って、由宇のまえから逃げた。