たったひとりの王子様 [完]
大好きなのに…
好きだって叫ぼう
ざわざわしている教室。
由宇の姿は、そこにあった。
いつもみたいに、笑ってない。
…笑ってはいるんだよ?
でも、いつもみたいな、心からの笑顔じゃない。
幼なじみだから…分かる。
あたしのせいだよね。
ごめんね…由宇。
あんたの想いに気付かなくて。
しかも…傷つけちゃって。
「…由宇っ!」
あたしは、大きな声で、ドアのところから由宇の名前を呼んだ。
窓際にいる…由宇を。