たったひとりの王子様 [完]



駅に着いて、プシューとドアが開いた。


いるはずがないと思ってた人の姿に、声がでる。



「由宇…」



一緒にいたんだ。


気づかなかったー…。



「…」



だけど由宇は、なにも言わないでホームを出た。


あたしの姿が見えなかったかのように。


目は、あったのに…。



「ケンカでもしたの?」


「ううん…」



ケンカじゃない。


ケンカじゃないの…。




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