たったひとりの王子様 [完]



あたしと柚香が教室にはいった瞬間、騒がしかった教室が静かになった。


クラスの半分の子がこっちを見て、小さい声で喋る。


1番人数が多いのは、金井くんがいるところ。



「柚香おはよ」


「柚香、聞いてよ〜! 昨日さぁ」



いつもあたしたちといる子が、柚香の手を握った。


そのまま引っ張っていこうとする。



「やめて、触んないで」



そんな手を、柚香は振り払った。




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