たったひとりの王子様 [完]



「おいっ、待て!!」



そう叫ぶと、いきなり走り出す由宇。



その前にいるのは、金井くん?



「由宇っ」



いくら由宇の足が早くても、陸上部に追いつくはずない。



そう思ったのに。



「待てよ、ワケ話せ」



由宇は金井くんの手を掴んで、強い口調で聞く。



「愛だね。よかったね、明美」



あ、愛…。



真っ赤になる顔。



それを冷ましながら、由宇の元に近づいた。




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