たったひとりの王子様 [完]
―ぴーんぽーん―
あ、チャイム。
お客様、だ。
あたしは由宇の顔を手で押して、ドアまでいく。
顔が赤い。
ドキドキしてる。
冷静に、なれない。
涙はとまったけど。
「やっほーっ、明美ちゃん♪ 今日も可愛いね♪
うーん、いい香りだなぁ。シチュー? 俺にもちょーだい♪」
「っ、内斗くん!?」
勝手にあたしの家にあがる、
同じ小学校だった、内斗くん。
なんで今日、お母さんたちがいないこと、知ってるの?