たったひとりの王子様 [完]
「俺、部屋から帰るわ。ベランダの鍵、開けてきたし。じゃーな」
由宇はそう言って、2階にあがっていく。
靴を渡されたから、あたしもついていく。
由宇は、器用に自分の部屋のベランダに移って、窓をあけた。
靴を渡してから、部屋に入る。
「じゃーな、明美。片付け、悪い。今度やるから。
ちょっと早いけど、おやすみ」
由宇の部屋のカーテンが閉まった。
あたしもカーテンを閉める。
楽しかった、な。
なんか。
そのすぐあと、由宇からメールが来た。
『内斗が外でうるさくても、ぜってぇ無視してろ』
由宇、らしい…。
内斗くんと仲良しだから、できるんだよね。