続②・絶対温度-私の定義-
白い息を零しながら、無言で肩を並べて歩く。関谷の歩幅はあたしが合わせなくても不思議と一緒で、こうして歩く事にやっと違和感がなくなってきた。
けれど、すれ違う女の子の視線を容易にさらうこの男の容姿は勿論、秀でたものだという事は理解しているし。
さっきのカップルみたいに堂々と似合う自分だとは思えないのも変わらなくて、あたしはあたしで良いと思うのに、こんな所が大嫌いだ。
あたしの職場から歩いてこれるこの場所に待ち合わせた事さえ、この浮かれたシーズンだという事を頭に置くべきだった、と人通りの多い賑やかな街を歩いて思った。