続②・絶対温度-私の定義-
「ん、カレーだわ」
味見をして満足する頃にはカレーの匂いが部屋に充満して、およそ色気があるとは言い難い部屋が更に濃くなった。関谷があたしの部屋に来る事は数える位しかない。
最後に関谷が来たのはいつだったか。
あたしがぼんやりそんな事を考えながら、食器をテーブルに置いているとピンポーンと甲高い音が響いた。
タイミングがばっちり過ぎる。どこかで見ていたんじゃないかと思える位。
初めてじゃないのに変な緊張感に何故か胸が疼く。
それがなんなのか、考える前にドアを開けるとひんやりとした風が入って寒い。目の前には、あたしの予想通り関谷が立っていた。