続②・絶対温度-私の定義-
「…寒い」
「でしょうね」
出だしの会話を済ませると、関谷を中に促す。体を覆っていた緊張感が解けて、靴を脱ぐ関谷を確認すると何故だか足が浮ついた。
「早かったじゃない」
それを意識しないように関谷に声をかけると、
「俺を誰だと思ってんの?」
とフフンと関谷は笑った。はいはい、と言おうとして、だけどそれを言う前に回された腕が体を包んで、言葉が出ない。
「……寒い、あっためろ」
ギュッと抱きしめられて、外の冷たい温度を纏う関谷のコートが寒くて、いや、そうじゃなくて、
「せ、関谷」
「あ?」
関谷に包まれて、あたしは窒息しそうな胸を抑えるのに必死で。