続②・絶対温度-私の定義-

「ち、ちょっと」


どもる自分が情けない。覆われた腕の中では関谷の顔は見えなくて、冷たいコートに触れているのに、胸の辺りが熱くなっていく。そんなの関谷はお構いなしで。


「っ関谷!」

「…うるせ」

「な、なにしてんの」

「……ムカつく」

「は?」


落ちた低い言葉は、何の感情も見えなくて、あたしは思わず顔を上げた。


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