続②・絶対温度-私の定義-

お風呂から出て、意味の分からない緊張に居心地悪くて不必要に時間をかけて髪を乾かす。
鏡に映る何の武装もしていないあたしはどこか頼りなく見えて、パンっと両手で頬を叩いた。
プレゼントくらい渡せないでどうすんのよ。馬鹿ね、あんたは。
鏡に映る自分に渇を入れて眼鏡をかけた。




リビングに迎えば、ソファの背中から関谷の足だけが見える。体勢に変化がなくて、あたしは「関谷」と小さく名前を呼んだ。


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