彼の二番目。
家に帰ってベッドでゴロゴロしていると、
ピロリロリン♪
と愉快な音が携帯から聞こえた。

表示に映るのは“圭”の文字。

ためらいながらも電話に出れば、
『もしもし』
といつもと変わらない冷たい声が電話ごしから聞こえた。

「…どうしたの?」と遠慮がちに尋ねれば、すぐに、
『会いたい』
と耳元に聞こえた。

気のせいかもしれないけど圭の声は、いつもと少し違った。


私は、すぐに着替え待ち合わせの丘の上公園まで急いで走った。

私が着くと、そこにはすでに圭の姿があった。

後ろ姿は丸まっており、なんだか圭らしくない。

「…圭?」
と、肩を叩きながら名前を呼べば圭は振り向き私だっと確認すると私を強く抱きしめた。

圭は目や声や性格などは冷たいんだけど本当は暖かくて優しい。

「…芽依」

こんな圭は初めてだ。

私は、圭の背中に思わず手を回した。

彼女だから許される行為。

たとえ、二番目でも変わりでも圭の傍にいられればそれでいい。

「…芽依、慰めて」
圭の口から聞こえた甘い言葉、甘い声。

玲って子にも、そんな声で甘えるの?
と思ったけど、そんなのすぐに許してしまう。

今、私に甘い言葉が向けられてるならそれでいい。

私は、ためらいがちに圭の頭を撫でる。

しばらくして、圭の顔が上がった。

「なんか、ガキみたいじゃん」

不満そうに圭が言う。

「だって、慰めてって言われても撫でるしか思い浮かばないし…」
と私が戸惑いながら言うと圭は少し微笑み、
「キスだろ?」
と言った。

私は思わず跳ね上がる。
だけど、それは圭の腕によってすぐに止められてしまった。

「…芽依、慰めて」
大きな瞳で上目使いで私を見る。
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