彼の二番目。
そんな珍しい圭の愛くるしい表情に負けてしまった。

恥ずかしい。

「分かった」

私が、そう言うと圭は私の体から少し自分の体を離した。

私は、至近距離で圭を見つめる。

いけないことだと分かりながらも唇を圭の唇に近づけた。

その瞬間、
やっぱり駄目!!
と言う考えが頭を過ぎり私は唇ではなく頬に軽くキスをした。

それでも、やっぱり恥ずかしい。

私が唇を離すと目の前には目を開けた圭の顔。

いつもと変わらない冷たい顔だった。

「これがキス?」

私がキスしたところを触りながら圭が私に尋ねる。

私は、顔が赤くなるのが自分でも分かり俯いた。

玲って子とのキスのほうがいい?

そう思うと胸が苦しい。

でも、私は圭にとっての二番目の彼女。

そんなの分かってる。

だけど、やっぱり苦しくて。

「…芽依」

そう、圭から呼ばれ顔を上げると鼻と鼻が当たるほどの距離に圭がいた。

「普通…」

吐息が私にかかり私はピクッと反応してしまう。

「唇、でしょ?」

圭はイジワルそうに微笑むと、すぐさま私の唇を塞いだ。

一度は触れた見たいと思った形のいい唇が今、私の唇に重なっている。

やっぱり、圭の唇は柔らかかった。

唇が急に離れた。

いや、私が夢中だったのかもしれない。

辺りは、もう夕暮れで圭の頬には眉毛の陰が映りより圭をかっこよく見せる。

「もう一回していい?」
「うん…」
小さな声でだけど、しっかりと私は言葉を発した。

そして、再び圭の唇が重なった。

圭がキスしたくなったら何度でもしてよ。

玲って子の変わりでもいいから、圭の唇と重なりあいたいよ。

頭の片隅で、私以外の子を思っていてもいいから。

貴方の隣にいさせて?
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