彼の二番目。
次に唇が離れた時、再び唇が重なることは無かった。

圭は私の背中に回した手を離す。

私も圭に合わせ圭の背中に回した手を離した。

「軽く、愚痴って言い?」

私は迷いなく頷いた。

圭の言いたいことはだいたい分かっていた。

「玲のことなんだけどさ…」

やっぱりと思いながらも私は耳を傾ける。

聞きたくないけど聞きたい曖昧な気持ちのまま圭の話しを聞くことにした。

「今日さ、芽依と別れて玲のとこ行ったらさ、『あの女の子誰!?』とか急にキレだしてさ。やっぱり面倒くさい」

だったら別れて私のことだけ見てよ、なんて言えない。

言ったら私も“面倒くさい”になってしまうだろう。

傍にいれないのは嫌。

だから、たとえ変わりでも傍にいられるならそれでいい。

「だからさ、芽依との関係が一番楽かもな」
と、私の顔を見ないでそう言うことん言う圭はずるいと思う。

そんな期待させるようなこと言って、期待したらしたで“面倒くさい”そう言って私を捨てるんだ。

「そっか…」


圭は、自分が帰るついでに私を家まで送ってくれた。


私はベッドに横たわりキスのことを思いだした。

柔らかいくて暖かい唇。

…圭、好き。
心の中で呟いた。

多分、もう二度と言ってはいけない言葉。





「圭」

私は再び圭を呼び出した。

「…私、圭がやっぱり好きなの」
私の口は勝手に開いた。
「面倒くさい」
圭は、今までに見た冷たい顔じゃなくて、凄い怖い顔で私に言った。


「キャッ」

思わずそう叫び私は飛び起きた。

いつの間にか私は深い眠りについていたみたいだ。

夢で良かった…。

でも、もし本当だったら?

そう考えると恐ろしくてたまらなかった。



朝、学校に行くと前には圭と女の子が隣に並んで歩く姿が見えた。

仲直りしたんだ…。

チクンッ
と、また私の胸が痛む。

“面倒くさい”

夢の言葉を思い出し私は自然体を振る舞った。

「芽依、ちょっと来い」

そう言い、強引に私の腕を圭が掴む。

黙って圭に着いて来られた所は誰もいない寒い屋上。

「適当に座れ」
そう言われ私は座った。

冷たい地面が肌に伝わり背中に虫ずが走る。

そんな私を横目に圭は、口を開いた。
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