彼の二番目。
「玲と寄り戻した」少し顔をしかめていう圭。

嫌なら別れればいいじゃん。
言えないそんな事。とても。

私は圭の二番目、癒し。
そんな私が面倒じゃいけないんだ。

だから、傷つく胸をキュッと抑えて我慢する。

「…そっか」
冷静に圭に言う。
胸の痛みに気づかれないように、冷静に。

「はぁ、本当、面倒くさい」
圭は溜め息交じりに呟く。

昨日見たいに甘えてよ。
だけど自分から抱き着くことは出来ない。

「泣きながら、ゴメンって何度も言うから許すしかないじゃん」
そう言い、もう一度深く溜め息を吐く圭の顔は無気力だ。

「そうだね…」
私は、圭の顔を見ずに言う。

何で、別れないの?さっきから、頭の中で連呼する私の気持ち。

響いて、弾んで、弾けての繰り返し。
頭がズキンと痛むと共に胸の苦しみも増す。

圭はズルイ。
他人ばかりを傷つけて自分は他人に助けを求める。
だけど、嫌いになれないんだ。
馬鹿な私…。

そんな事を考えていると力を抜いていた私の手に暖かい圭の手が重なる。

圭が私に甘えているのか。

本当にズルイ。

「芽依…」
その声に反応し圭を見た。

真っ直ぐな瞳で私を見る圭。

胸の痛みは消えると共にドキドキし始めた。

私の耳に感じる吐息。
思わず、ピクッと体が反応する。

そんな私を見て圭は私の耳元で、
「フッ」
と笑った。

そして私の耳に優しくキスをする。

「っ、…圭っ」
私は圭を拒む。
だけど正直な私の体は圭を求めた。

「俺のこと誘ってんの??」
圭は耳元でそう言い今度は首筋に優しくキスをした。

「あっ、…圭」
私の口から自然に漏れる甘い声。
…もう、ごまかせない。
そう思った私は腕を圭の背中に回し圭を受け止める。

その瞬間、首筋に激しい痛みが走った。
「…っ」
何事かと思い目を開けて目の前の圭を見れば微笑む圭が居た。

「…キスマーク」
そう言った圭は、激しい痛みが走った所を人差し指で優しく撫でる。

「痛かった?」
優しく尋ねる圭。

痛かった、痛かった…、けど…。
圭が付けてくれたキスマーク。
どんなに痛くてもいいから何度でも付けてよ。

私は貴方のもの。
鏡を見ればいつだってそう思える。
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