彼の二番目。
圭の背中に回した腕の力を強めて、より体を密着させた。

自分から、そんな事しちゃ駄目だって分かってる。
…だけど、我慢しきれない。

「…圭」
甘い声で圭を求めれば重なる圭と私の唇。

初めてした時より甘くて長い。

「っあ、…圭」
と口を開けば私の中に入る圭の舌。
圭の舌は暖かくて優しい。
そして、私の舌を絡ませた。
次第に激しくなるそのキスに気が遠くなりそうだ。

「あっ、んっ、…圭」

その瞬間、私の耳元に微かに土を踏む音が聞こえた。

「…圭?」
高い声。
慌てて圭から体を離せば、朝、圭の隣を歩いていた彼女、玲の姿があった。

全身の血がサァーと引く。

「何、してるの?」そう言いながら徐々に詰め寄る私達と玲の距離。

圭は私から体を完全に離し立ち上がった。

「…何?」
一切の戸惑いもなく冷静な口調が余計に私を不安にさせた。
「何って!どういう事!?何で、あの子とキスなんかしてるの!?」
ついに怒鳴り始めた玲。
瞳には今にも溢れそうな涙。

この場から立ち去りたい。
だけど、私がいけないんだ。

黙り続ける圭に玲はキレる。
「ねえ!!圭!!何か言ってよ!!」
ついには圭の胸倉を掴んだ。

さすがに口を開いた圭が発した言葉は、ゴメンや、悪かったでもなければ、
「めんどくさい」
だった。

一瞬、流れる沈黙。
だけど、すぐに玲の、
「え??」
と言う戸惑いの言葉で打ち切られた。

「だから、めんどくさいんだよ。お前。重いつーか、ウザイ」
と淡々と言う圭が少し怖い。

圭は玲を見ているから顔は見えないけどヒシヒシと伝わる恐ろしい空気。

何だか、私が言われている気がして涙が出そうだ。

「…何、それ」
ついに溢れた玲の涙。
綺麗に頬を伝った。
「まだ分かんない。面倒だし、重いし、ウザイんだよ。アンタが」

それを聞いた玲は圭の頬を思い切り叩き立ち去った。

「…圭」
私が心配そうに圭を呼べば、
「教室、行くぞ」
と、ゆっくりと歩く圭。

私は、圭の後ろを着いて歩いた。
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