出席番号1番
出会い


入学式当日。


私、相藤紗良は参考書を片手に華やかな校門を潜った。

クラスわけの表なんて見る必要ないけれど、念の為に確認をすると予想通り10組。

当たり前だと思いながら唯一同じ中学からきた赤沢くんのクラスを捜す。元クラスメートのよしみでお世話になることもあるだろう。



「おー!俺1組!」

「俺も俺も!よろしく!」


少し向こうで馬鹿みたいに笑う男子を横目で見た。
何がおもしろいのだろう。成績が悪い。それの何がおもしろいんだろう。

不可解極まりない。

少し見下しながら教室に行こうとすると赤沢くんに呼ばれた。彼は8組に名前があった。


「相藤!」


離れた場所から呼ばれる私の名前に反応すると



「ん?お前だれ?」



さっき馬鹿みたいに笑ってた1組男子が彼に話しかけた。

彼は戸惑い、私を見る。


「もしかしてあんた相藤っつーの?偶然!」


馬鹿みたいに話すこの1組男子の名前も相藤だったようだ。

話しかけてきた彼を気にもせずその男子は話を続けた。


「あんた何組?」

「・・・10組」


随分頭が悪そうだと思った。1組というだけある。


「鬼才クラスじゃん!つーか、その参考書何だよ!これから入学式っつーのに参考書片手にとかさすが未来の東大生!」


そう言った後にまた隣にいるもう一人の1組男子と馬鹿みたいに笑った。
自分の言ったことがそんなにおもいろいのか。理解できない。


彼らをそのままにして私を呼んだかつてのクラスメートの方に向かった。

それでも私に声をかけ続ける馬鹿。


「なあ、鬼才さん!同じ名字同士仲良くしようぜ!俺、相藤瑛斗っつーんだけど!」


その声を聞こえてないふりした。
大声だったから聞こえてないわけがないけど関わりたくない、その一心だった。


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