わがまま娘の葛藤。
素直にメールを返すべきか。
はたまた、もう少し意地を張ってみるか。
どうしたものかと悩んでいると、手の中の携帯がまたも震えた。
やっぱりピンク色のライトと愛しい漢字がひとつ。
『もうちーの家の前まで来てんだけど。シカトってことはオムライスもいらないんだな?』
あぁぁぁ!
オムライス!
これを言われたら、最早あたしに逆らう術はない。
だって、『どこの高級料亭で習ってきたんだ』って思わず聞きたくなるほど、ほんっとーーーに礼のオムライスはおいしいんだもん。
(高級料亭にオムライスなんてねぇよ、とかっていうつっこみはどうかご勘弁)
たとえば、地球最後の日に何でも食べさせてくれると神様が仰るのなら、あたしは迷わず礼のオムライスをリクエストする。
無意味な一人問答を繰り返しているうちに、玄関のインターホンが鳴った。