ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

「まあ、あんたの彼女なんだって知ってたら、手は出さなかったよ。

めんどくさいことは嫌いなんだ。

だから最初に『彼氏募集中?』って確認したんだけど、岩谷さんは徹底的にはぐらかしたからな」


だって、あの場合、それが正しい方法だと思ったんだもの。

私のせいにされたって困ります!

成り行きでパーサーの彼女ってことになったけど、実際には付き合ってる訳じゃないし。

パーサーにもこんなに迷惑をかけて、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

それなのに、パーサーは澄ました顔で、また嘘を重ねた。


「社内恋愛は禁止されておらず、むしろ割とオープンなのが、ジャパン郵船の社風です。

ただ、彼女はまだ研修中の身で、入社してから日も浅い。

入社前から付き合っていたことは、できれば秘密にしておきたいのです。

ですから、お互いに今回の件はなかったこと、見なかったことにしませんか?」


すごい、私とパーサーは入社前から付き合っていたという話が、あっという間に出来上がっている。

こちらの弱みもあえて伝える方法を取って、工藤さんを逆上させないようにしてるのが解る。


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