ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「だったら、ここ以外の安全な場所ならいいんだろ?
往復の旅費もかからない、宿泊無料の部屋を提供するよ」
「……」
簡単に言いくるめられてしまった。
なぜなら、今はひとりでホテルに泊まることも怖いと思ったから。
こんな時間に頼れる相手はもう、いなかったから。
そんな言い訳をしながら、コウさんにすがる自分を正当化しようとした。
「ここが俺の家」
私のマンションからちょうど10分ほどのところにある、会社近くの立派なマンション。
地下駐車場に車を停める。
ちょっと意外だったのは、コウさんの車がハイブリットカーだったこと。
もっと派手な車を想像していたけれど、あの『パーサー』だったら、これを選んでもおかしくない。
「大丈夫、空き巣に狙われたことはないよ」
エレベーターに乗って押されたボタンは、15階だった。