ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
同居の条件
「上司じゃなくても、緊張します」
「どうして?」
「……本当は、わかってるんじゃないですか?」
「想像はつくけど。
込み入った話は中で聞くよ」
玄関を開けて、先に通される。
ドアが閉まって、狭い空間に2人きりだということを実感した。
「お邪魔します」
「どうぞ。
先に言っておくけど、俺は4航海ぶりに帰ってきたから、半月掃除してない」
パーサーは、私達より1航海先に乗船していたんだ……。
だから、最初に船で会った時、制服を着ていたのだと気づいた。
そうだ、居候するのだから、せめて家事くらいはさせてもらわなくちゃ。
「掃除、させてください」
「いきなりそれは申し訳ないけど、正直助かるな。
荷物の整理をしてるから、ちょっと掃除機かけてくれるか?」
コウさんが私の申し出を受け入れてくれた。