ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

「それは、どういう意味?」


「知っててまたとぼけるんですか?

やっぱり、コウさんはずるい!

私にだけ暴露させて、自分のことは何も教えてくれない。

コウさんは、私のことを何でもお見通しでしょう?

今まで私が好きになった人は、好きになってはいけない人だったんです!

相手のことを知らないまま、こんな状況になっちゃって、私はどうすればいいんですか?」


上を向いて、睨みつける。

聞きたいことは色々あった。

仕事以外、何も教えてくれないパーサーと、毎日思わせぶりなメールをくれたコウさん。

本当だったら、明後日誘われていたはずの『連れて行きたい場所』のこと。

どうして、私を誘うのですか?

私のことを、少しでも気にかけてくれているのだとしたら。



「……裕香ちゃんの気持ちは、何となくわかるよ。

俺のこと、もっと知りたいんだろ?」


素直に頷いた。


「もう少し、時間が欲しい。

これを聞いても、君が俺の見方を変えないでくれるっていう自信が、今はまだないから」


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