ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「このコーヒー、タケルが選んだんだってさ」
向かい側に座ったコウさんが、静かに語った。
「そうですか……」
「まだ、タケルの事を思い出すのが辛いか?」
「いいえ。もう、親友の旦那様だっていう風にしか見えないと思います」
「だよな。それでいいよ」
微笑むコウさんに、私もつられてしまう。
「先生って、学生時代はどんな感じだったんですか?」
今の大人な先生にも、色々あったのかな、なんて。
「大学時代のタケルか……。
いつもバイトに明け暮れてたな。
ゼミ以外の授業中なんて、起きてたのを見たことがない位寝てたぞ。
でも、成績は優秀だった」