ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
心の羅針盤
休暇初日の朝を、まさか上司の家で過ごすことになるとは思わなかった。
昨夜の微妙なやりとりを思い出して、また顔がほてる。
あの後、シャワーを浴びてリビングへ戻った私に、コウさんがかけた言葉。
「いろんなことがあって、怖かったよな。
ここにいる限り、安心だと思ってもらえるようにするから。
……君が俺を誘惑しない限り、頑張って『同居人』に徹するよ」
「本当ですか?」
「そう。だからあんまり刺激しないで欲しい。
言っておくけど、この家に女の子を入れたのは初めてなんだ。
こんな若くて可愛い子が、パジャマを着て目の前にいること自体、相当ヤバい」
「じゃあ、どんなカッコで寝たらいいんですか!?」
「どんなカッコでって……そういう男の煩悩を刺激するようなことは言わない方がいい。
俺はシャネルの5番からババシャツまで、裕香ちゃんが身につけているものなら何でもいいけど。
ちなみに俺、普段は裸族……」
「裸族は禁止ですっ!」
居候だけど、そこは譲れません。