ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「了解。男を知らない裕香ちゃんには、刺激が強すぎるよな」
「当たり前です!」
……このセクハラ上司、陸の上ではやりたい放題なの!?
こういうことはオープンなのに、肝心なことについては、徹底的に秘密主義。
陸に上がってから答えるって言っていたのは、こんなことじゃなかったはず。
またしても、うまくはぐらかされて、今朝に至る。
そして私は只今、空っぽの冷蔵庫を開けて、どうしようかと悩んでいた。
ご飯は私が作る、と言い出したのはいいけれど、食材が何もない。
当然だった。
半月も留守にしていて、やっと帰ってきたと思ったら、面倒なトラブルに巻き込まれてしまった、家主のコウさん。
買い物に行く暇なんてなかったもの。
まだ、リビングのソファで毛布を被って眠っているコウさん。
きっと、かなり疲れているはず。
もう少し静かに眠らせてあげよう。
寝顔がとっても穏やかで、可愛く見えたのは気のせい?