ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「さあね。意外と身近にいるかも知れない。
俺を好きになるということは、それを乗り越えるだけの覚悟が必要だ。
だから、本気で惚れて欲しい」
「いいえ!
コウさんが私に全部教えてくれるまで、惚れません!」
真意の見えない中、心の中を探り合うのは嫌だった。
ダメならダメだと、はっきり言って欲しいのに。
どうしてコウさんは、私が本当に知りたい事を教えてくれないの?
貴方は私をどう思っているんですか?
先生には言えて、私には言えない秘密って、何?
「強情だなあ。
でも、自分の信念を貫くところ、真っ直ぐなところが、君のあの演奏と音色に繋がるんだろうな。
……もう、俺には出せない音だ」
「えっ?」
コウさんも演奏する人だったの?