ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

「パスタ、ご馳走様。

美味かったよ」


「お粗末様でした。

すみません、これが精いっぱいでした」


「だろうな。冷蔵庫空っぽだったし。

そうだ、買い物に行きながら昼飯は外で済ませよう」


「はい」



この微妙な空気のまま、マンションで二人きりよりは、出かけた方がずっとましだと思った。

コウさんが私にすべてを打ち明けようとしない理由。

もしかしたらそれは、私自身にあるのかも知れない。

私がコウさんに『本気で惚れる』ことが本当に大事だとは考えられない。

だって、それなら既に……。


でも、コウさんはどうなの?

コウさんは私を本気で好きじゃないから、言えないのでは?

好きな相手に、自分のことを知ってもらうのは、悪いことではないはず。


それとも、他に理由があるの?



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