ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「そんなこと、ありません!
その状況になったら、きっと誰だって……」
私がコウさんの立場でも、きっと言ってしまう。
辛かったそれまでの気持ちと、痛みと、不安を。
「そう、施設の先生や仲間からも言われたよ。
でも、もっと俺に父を思いやる気持ちがあれば、出なかった言葉だと思う。
前にも言ったけど、俺とタケルは似た者同士だ。
タケルも親父さんの事業が失敗した時、責めてしまった、と。
それからすぐ、亡くなったそうだ。
だからこそ、お互いに解ってる。
その後、どれだけ自分の言動を後悔したか。
仕方がなかったんだ、これは運命なんだって、どれだけ周りの人から慰められても、あの日の自分の言葉は消せない。
良心の呵責に苦しむ自分より、父と母の方がずっと苦しくて辛い気持ちを抱いたまま、海に沈んだのだから」