ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
……小学生の男の子が背負うには、あまりにも重すぎる現実。
それでもなお『両親の愛情を知っているだけ、幸せなんだ』と言い切れる環境。
今まで、私はコウさんの何を見てきたのだろう。
どれだけ周りに甘えて生きてきたのだろう。
私はどうすれば、コウさんの心に寄り添うことができるのだろう。
コウさんと比べたら、全くと言っていいほど、苦労を知らない私。
だけど……。
コウさんのことを、もっと知りたいと望んだのは私。
私とは全然違う、心の闇を抱えたまま大きくなった男性……。
コウさんの過去は、もう変えることができない。
でも、コウさんの未来を、少しでも明るくすることができるとしたら。
コウさんは、私にそれを望んで、話してくれたんだよね?
それなら、答えはひとつしかないと思った。
全て、共感をこめて受け入れること、そして、過去より未来を大切にすること。
そうでしょう? 菫。
先生と菫は、きっとそうして進んできたはず。
コウさんと私も歩いていける、確かな道しるべを作ってくれたんだよね。