ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

ブーケを抱えて泣いていた私と、ひっそりと布団の中で泣いていたコウさん。


悲しみの深さは全く違うけれど、きっとコウさんはひとりで隠れて泣いていた私に、かつての自分の姿を重ねたんだよね?


掌の上のかけらは、ふたつとも錆びついてぼろぼろだけど、コウさんとご両親との大切な宝物。


かけらをそっと、青い巾着袋に戻した。


それから。


「コウさん……好きです」


やっと、言えた。


ほっとしたのと、嬉しいのと、今までの想いが重なって、笑顔で涙した。


私の涙を、また大きな手が拭う。


もう、その手にすがりついてもいいんだよね?


私を見つめる眼が、とっても優しいから、そのまま甘えて言ってしまおう。


「知ってました?

コウさんにはもう、私から幸せのかけらをプレゼントしているんですよ。

初めて会ったあの日に」

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