ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
コウさんの顔を見上げたら、軽くかがんでくれた。
こんなに至近距離で見たのは、あのキス以来。
また、心臓がうるさいくらい脈打つ。
「一緒に幸せになりたい相手が、やっと見つかった。
君に、心底惚れてる」
「どうして、ですか?
出会ってから今まで、私、いいところなんてなかったような……」
多分、良かったのはピアノだけ。
初対面は泣いてばかり。
ろくに働けない、使えない部下。
私がコウさんを好きになる理由は沢山あったけど、逆は思い付かない。
不思議な現象だと思って、答えを待ったら。
「ああもうっ!」
ぎゅっと抱きしめられた。