ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

二次会は行かなくて正解だった。

こんな姿、誰にも見せたくない。

ましてや菫と先生には絶対に見せられない。


やや閑散としたロビーの隅で、ブーケを抱えたまま涙する私。

こんなに早い時間に泣きながら帰宅したら、きっとお母さんが驚くよね。

せめて二次会が終わる頃まで、ここでひとり、時間をつぶそうと思った。


今日はクリスマス。

ロビーには大きくて立派なクリスマスツリーも飾られている。

ぼんやりとツリーのてっぺんに付けられたお星様を眺めていたら。


「星に願いを、かな?」


突然、声を掛けられてびっくりした。


「それとも、迎えの車でも待っている、とか?」


後ろから現れたスーツ姿の男性に驚きながらも首を振る。

全然知らない人、だった。


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