ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「解った! 今朝起きたら、サンタさんからのプレゼントが枕元になかったから、ショックで泣いている!」
何それ? 私はサンタさんを信じるような歳じゃありません!
思わずくすくすっと泣き笑いして、また首を振ったら。
「どっちにしろ、ここは寒いし1人で泣くには適さない場所だと思わないか?
俺もクリスマスに1人で寂しいから、一緒にどう?」
「え……?
あの、私、そろそろ帰ろうかと思って……」
知らない男の人に付いていくなんて、そんなことできない!
とにかくこの場を離れようと思ったのに。
「ウソだろ。誰にも泣いてるところを見られたくなくて、ここでこっそり泣いていた。
泣き止んだら帰ろうとしてた。
違う?」
なんで解るの!?
初めてその人の顔をまじまじと見てしまった。
少し日に焼けた肌に、やや長めの前髪。
奥二重の眼は涼しげで、でも笑うと愛嬌がある。
すっと通った鼻筋に、愛想よく口角が上がった口元。
……私より、結構年上なんじゃないかな?
素敵な大人の男性、だった。