ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「さぁ、好きなものを注文して」
自然なエスコート。
彼が導くままに、最上階のバーへ来てしまった。
変な人、ではなさそうだけど、大丈夫かな……。
信頼していいのかな、といった顔をしていたみたい。
「さっきのピアノ、とても素晴らしかったよ」
「え!?」
確かに披露宴の余興で、ピアノを弾いたけど……という事は、この人も招待客だったの?
ただの宿泊客じゃなかったんだ。
「華麗なる円舞曲、ポピュラーだし、余興にはいい感じの長さ。
自分で選曲した?」
「……はい」
「やっぱり、な。
いいセンスだね」
微笑まれて、誉められて。
照れてしまう。
メニューで顔を隠すようにしながら、カシスオレンジを注文した。