ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
上司と部下。
それ以上でも以下でもないって言い切ったパーサーだから、当然部下として心配してくれたんだと思う。
それでも、見捨てないでいてくれているということがわかってほっとした。
期待しているって言ってくれたんだもの。
待ってたって……。
……?
待ってた?
菫の結婚式で会ったあの日、私は自分の就職先を素直に話したけれど、パーサーは『大企業の中間管理職』としか教えてくれなかった。
上司と部下というだけの節度ある付き合いをするつもりなら、私の就職先が判った時点であんなことはしないはず、じゃない?
どういうことなんだろう。
船酔いが治まってきて、やっと冷静に頭が働くようになってすぐ、この難問。
頭がぐるぐるするのは、きっと船酔いのせい、だよね?
『待っていた』という言葉に、過剰な期待はしちゃダメだと思う一方で、どう考えても不可解なパーサーの行動に、私は混乱していた。