ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
1航海がようやく終わる頃、私は何とかシフトに戻った。
「裕香、こっちね」
まどかが私を案内してくれたのは、レストランの厨房。
私達新人は、まず裏方の仕事から覚えるらしい。
トレイの上にまどかがグラスをきっちりとすき間なく並べる。
「はい、裕香もやってみてね」
まどかは業務用製氷機から氷をどんどん出して、グラスへ入れていく。
ピッチャーから水を一気に注いで、あっという間にお客様へ出すお水のグラスが完成。
「すご~い、手際がいいのね」
「こんなの、どこのレストランでもやってるんじゃないかな?
私がバイトしてたファミレスでも、ランチタイムとかはこうやって準備してたよ」
「そうなんだ……。
私、こういうバイトの経験もないの」
「じゃあ、これから覚えたらいいよ!
ところで裕香は今までどんなバイトしてたの?」