ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

今のこの姿、菫が見たら何て言うだろう?


『裕香、意外と似合うね~。

元ヤンなお嬢様ってキャラでもいけるかもっ!?

そのカッコでピアノ弾いたら、きっと総長も惚れるよ』


そんな事を、あのくりくりおめめで言われたら、まんざらでもない、かな?


想像したらちょっと笑えた。

菫も、色々忙しい日々のはず。

先生と一緒に、もうすぐ海外へ赴任する。


……いけない、早く仕事しなくちゃ。


慌てて部屋を出た。



言われた通りの場所へ行くと、ケージを取り外したパーサーが、甲板へ私を連れ出した。


「洗い終わったら、このスプレーで消毒する。

それからクロスで拭きあげて、ケージ置き場へ固定だ。

ああ、甲板が汚れるから、最後にデッキブラシで流しておくこと」


「はい」


「ミーティングまでに終わらせるように頑張れ。期待してる」


後に残されたケージとデッキブラシと私。

期待に応えられるように無我夢中で作業した。

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