ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
「レッドはここにいないと、あぶないの?」
涙を拭きながら、男の子が尋ねる。
「うん。レッドも危ないけれど、他のお客さんだって危ないかも知れないの。
フェレットが大好きな人もいれば、動物アレルギーでさわっちゃいけない人もいるでしょう?
船は一度海へ出ちゃうと病院へ行けないから、みんなで気を付けなくちゃならないの。
船でみんなが安全に過ごすために、協力してもらえないかな?」
「……」
涙目で私をじっと見る男の子。
私も彼をじっと見つめる。
これが世の中のマナー、曲げちゃダメだから。
「……」
無言で、フェレットのケージを突き出された。
「ご協力、ありがとうございます。
どうかよい船旅になりますように」
小さいお客様へ、深々とお辞儀をした。