ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

「さっき泣いてたのも、それが原因なんだろ?

辛いこと思い出させちゃって、ホントごめん。

そっか、タケルっていい奴だもんな。

俺も女なら、惚れるかも」


そんな事を言われたら、余計に泣きたくなる。

でも。


「私が男でも、きっと菫に惚れますよ。

いつも周りを明るくしてくれて、性格もしぐさも可愛くて。

だから、あの二人が結婚できて、本当に良かったと思うんです。

大好きな二人の幸せを祈っています」


一気にカシスオレンジを飲んでしまう。

黙っていたら、涙がこぼれてしまいそうだから。


「自分の気持ちにふたをして、幸せを祈っていた訳だ。

笑顔で祝福して、ピアノまで弾いて、辛かったよな」


「いいえ! 私は今日を楽しみにしていたんです!

菫が幸せになる姿を見るのが。

菫を祝福して、2人のためにピアノを弾くのが。

菫からブーケをもらうのも。

なのに、不思議なんです。

私、こんな気持ちだとは思いませんでした。

……二人を見るまで」


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