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私と由月はオーディションをして決めることにした。
オーディションをして受かったほうが金管2年でやる八重奏、落ちたほうが金管1年で組む七重奏に入ることにして練習を始めた。



はっきり言うよ、きつかった。



由月も私も中学の時からチューバをやってるし、実力もたぶん互角。
というか、私は自分の技術に自信があるわけじゃない。
ずっと由月に頼りっぱなしだったから。
不安すぎて、泣いた。



そうして、オーディションをした。
金管八重奏メンバー7人に投票してもらった。
教室に2人残って無言で四つ折された紙を開いていく。
ひとつ、ふたつと開いていく度に彼女の顔が歪んでいった。



演奏順の由月の1が一枚。
そして私の2が六枚。



嬉しかった。
もちろん嬉しかった。
でも正面で泣いている彼女を見たら胸に重たいものが詰まった。



私は他の2年金管メンバーと曲を吹く。
由月は後輩の1年金管とやっていく。




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