*短編集*



大きなツリーの横に、ちょこんとオーナメント売り場があった。



「あの、まだありますか?」


おそるおそる聞いてみると、店員さんはにこっと笑った。


「最後の一組です。よかったですね」







「…なんで俺まで」


「いいじゃない。明もなにか書きなよ」


オーナメントはカップルに一組ずつだったらしい。


明は不満そうだけど、気にしない。


お願い事を書きこんで、ちらっと隣を見る。




ねぇ、あきら…私の、お願い事はね…






「書き終わった?」


「一応、な」


「どこにつけよっか」


「目の前でいいんじゃねぇ?ちょうど空いてるし」


言われてみれば、私達の前のツリーは運よくなにもかかって無かった。


「うん。じゃ、ここにしよ」


色違いのオーナメントが並んでツリーを飾った。


なんだか、これだけなのに幸せかも。




「ね、明はなんて書いたの?」


「早和は?」


質問返しされてるし…。



私は…


「秘密」



「じゃあ俺も」



聖夜の願いは誰にも言わない。


かなうと…いいな。


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