*短編集*
幼なじみ(その他)
「…ごめん」
「…っ。…どうして?俺の事は、好きじゃない?」
目の前で、悲しそうに顔を歪める和也。
その顔を見ると、私まで悲しくなっちゃうよ…。
まさか、和也が私に告白してきてくれるなんて思ってもみなかった。
「未来が好きなんだ。ずっと前から。俺と…つきあって下さい。」
今まで見たこともないような真剣な顔をして、そう言ってくれたのはつい何十秒か前の話。
本当に小さな頃からずっと一緒で、幼なじみで、お互いの事ならなんでも知ってる位の仲なのに…こんなに真剣な顔は初めて見た。
本気で言ってくれてるって、すぐにわかった。
だけど…
「好き…だよ。でも、私は和也を幼なじみ以上には見れないよ…」
「…本当に?それは、本当に未来の本心?」
「…!!」
「俺、咲月から未来が俺の事を好きでいてくれてるって聞いたんだけど…?」
咲月のばか…。
なんでそんな事を言っちゃうのよ…。
「それ、咲月の気のせいだよ。私は和也の事は、そうは見れない」
和也が何かを言いたそうにじっと私の事を見つめる。
本心を全て見透かされそうで…私は思わず、ギュッと目をつむった。
―――――――
――――
「和也、なんか今日元気ないね」
「…っ。そう…だね」
さすが咲月。鋭い…。
私と咲月、そして和也は幼なじみ。
家が近所で、昔から仲が良かった。
だから、私も他の2人も、お互いの事が良く分かる。
例えば、今、どんな事を考えているのか、とか。
何を伝えたいのか…とか。
そんな私達だから、咲月もわかってしまったんだと思う。