*短編集*



「…なんで?反抗期?」

「違うよ」


反抗期ではない。

…でも、やっぱりこれは反抗なのかな。

私の、最後の悪あがき。


「和也…」

「ん?」


私が立ち止まると、和也も合わせて立ち止まってくれた。

見上げていた視線を、地面に落とす。

そうしないと、和也に見えてしまう。

私が…泣いている所を。


「私、昨日も言ったけど和也の気持ちには応えられない」

「…うん」


和也が辛そうな声を出す。

うつむいていても、どんな顔をしているかなんて簡単に想像できる。

それくらい、ずっとそばにいたんだから。

それくらい…


「でもね、私は、和也の事が好きだよ」

「幼なじみとして…だろ?」



昨日聞いたよと、和也が力なく笑う。

違う。

そうじゃないの。

本当はね。


「ううん…私は、和也を男の子として好きだよ」

「…………え?」

「ずっと前から、和也の事が大好きだったよ」

「…ちょ、ちょっと待て。昨日、そうは見れないって言ったよな?」

「…うん」


確かに言ったね。


「今も、応えられないって、言ったよな?」

「うん…」


それも言った。



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