*短編集*


もらったのは、ラッピングされた透明な袋に入った黄色いクッキー。

あの時から毎年変わらない。

早和は、毎年Halloweenには、かぼちゃのクッキーをくれる。

そのクッキーを袋からひとつ出して…


「…んっ!」


早和の口に放り込んだ。


「おいしい?」


突然のことに驚き、それでも口をもぐもぐとさせている早和に尋ねると、困惑した表情で答えが返ってくる。


「…おいひい…」

「ん、よかった」


そんな早和を見てにこりと笑うと、早和はもごもごとクッキーを食べ終えたあと…


「…ん?なんかちがうよね?」

「うん、俺は食べてないし、あげたほう。だから…」

「…あ、あの…なんか、いやな予感が…」

「…イタズラ、させてもらうよ」

「………っ!!」






その次の日、一日拗ねた早和から口を聞いてもらえなかった…なんてことは、また別のお話。







*END*











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