かんのれあ番外編
「あー……」


こういう日に限って、何で担当がいないんですかね。


あー、凄まじく面倒くせえ。


らしくねえ。俺らしくねえ。



「山崎さん、どちらへ?」


「ちっと下まで。アイツ傘持ってなかったろ」


「あぁ、いってらっしゃいませ」


渡辺が柔らかく目を細めやがる。頭皮に鳥肌。


羽化して飛び立つついでに、髪も抜けそうな気がするから止めて欲しいんだが。


まぁそれは歯ー食いしばってさておくとしてだな。



「はいはい、そこの暗井さん」


おっと、思わず本名が出ちまったぜ。


暗井さん、じゃなく鏡華さんが物凄い勢いで振り向いて、こっちにやって来る。


つーかそれだけ遠くからよく聞こえんな。


普段なら挨拶してもシカトする癖によ。
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