かんのれあ番外編
「律儀っすね」


「山崎さんに借りを作るのが嫌なだけです」あっそ。


一刻でも早くこの場を去ろうと、くっついたビニール傘と奮闘する鏡華さん。



……別に、その後ろ姿に思う所があったわけじゃないが、何となく。



「使えるモン使ったって、バチは当たらないんじゃねぇの」


本当に、何となくだが言ってみた。


鏡華さんは一旦手を止め、顔の角度を少しだけこっちにずらす。


すぐに手元の作業に没頭して、聞いてるんだか聞いてないんだか不明なわけだが、俺は遠慮なく先を続けることにした。
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